漆山裕太.コマンドの実行と制御を一筆書きにて行うためのベゼル端を起点とするタッチパッド操作.筑波大学,2020,修士論文.

ABSTRACT

タッチパッド上にてコマンドを実行できれば,ユーザはポインタによる操作を行った後に,続けてタッチパッド上から手指を移動させることなく様々な追加の操作ができる. ただし,ユーザがコンピュータを用いた作業を行う際には,単にコマンドを実行するのみならず,その後にコマンドに関連する値を制御する作業を伴う場合がある. 本論文では,タッチパッドのベゼル端を起点とするスワイプをコマンドの実行に割り当て,その後のタッチパッド上における指の移動量に基づいて値の制御を行うタッチパッド操作手法を提案する. これにより,ユーザは音量や光量などの連続的な値の制御およびメニュー選択などのフィードバックを含む対話的な制御をアプリケーション上にてタッチパッド上から手指を移動させることなく実行できる. 本論文では,本手法の利用可能性を調査すべく,日常的なラップトップコンピュータ使用時のタッチパッドに対する操作の予備調査,統制下におけるラップトップコンピュータ使用時のタッチパッドに対する操作の調査および意図したベゼル端を起点とするタッチパッド操作の調査を行った. これらの実験を通して,1)識別アルゴリズムに適当なパラメータを設定すれば偶発的なベゼル端を起点とするタッチパッド操作の誤検出率を一定の割合未満に抑えられること,2)ラップトップコンピュータ使用時にはユーザがポインタを操作中のアプリケーション上に概ね留めること,および3)スワイプ中の2点のタッチイベントのみを用いる単純な識別方法でも意図して行われたベゼル端を起点とするスワイプを85%識別でき,かつ日常的なラップトップコンピュータ使用時の偶発的なベゼル端を起点とするスワイプの識別率を3.6%に抑えられることがわかった. したがって,本手法によるコマンドの実行と制御がユーザにより意図して起動可能であることが示された.

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